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2022.08.05
社外取締役の役割とは?取締役会モデルから考える取締役会と社外取締役の役割
昨年の会社法改正による社外取締役登用の義務化をはじめ、現在...続きを読む
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結論から言うと、「社外取締役」は多くの場合、” Independent Director” と表されるようです。ただし、日本語で厳密に言う「独立社外取締役」のほうが近い表現であり、日本のように厳密でない文書で言われるように「社外取締役」という場合には”Outside Director”という表現が一般的であるようです。
こちらの言葉は、例えば米国で上場している会社の株式を取り扱うニューヨーク証券取引所の上場ルール、ナスダックの上場ルール、さらに東京証券取引所の英語サイトにおいてはIndependent Directorという英語が使われています。
よって、少なくとも正式な呼称としてはIndependent Directorで間違いないと思われます。
一方で、例えば英語で発信される日経新聞によるNIKKEI ASIAにおいてはOutside Directorといった表現が使われています。この二つは後述しますが、厳密には異なる概念のようです。
また、GoogleトレンドでIndependent DirecotorとOutside Directorの過去一年間の検索量を比較すると、Independent Directorの方が米国では約2倍、英国では約3倍多く検索されているようですので、どちらが広く使われているか、という観点からもIndependent Directorである、と言えそうです。
以下に、NYSE上場のための社外取締役に関するルール、およびOutsider Directorとの違いについて、少し詳しく書いていきます。
ここで、NYSE(ニューヨーク証券取引所)におけるIndependent Direcotorの定義はこのようになっています。
303A.01 Independent Directors
Listed companies must have a majority of independent directors.
Effective boards of directors exercise independent judgment in carrying out their responsibilities. Requiring a majority of independent directors will increase the quality of board oversight and lessen the possibility of damaging conflicts of interest.
参照:NYSE
取締役会の過半数を社外取締役にすることで取締役会の監督の質を高め、有害な利益相反の可能性を減少させる、といった内容になっています。そのため、NYSEに上場する会社においては取締役会において過半数の社外取締役が必要になっています。
また、”社外”とみなされるための要件については、303A.02 Independence Testsにおいて定められています。
ここでは長くなってしまうために引用はしませんが、Weilが簡単にまとめていたので、その文を紹介します。
“Independent director” is one who the board “affirmatively determines” has no “material relationship” with the company “either directly or as a partner, shareholder or officer of an organization that has a relationship with the company.”
参照:Weil
つまり、” 社外取締役” とは、取締役会が「直接、または会社と関係のある組織のパートナー、株主、役員として」会社と「重要な関係 (material relationship)」を持たないと「断言 (affirmatively determines)」した者である。ということです。
また、すでに日本の会社法で定められている会社法の要件については前回の記事で簡単に紹介しましたが、ニューヨーク証券取引所における社外取締役と東京証券取引所における社外取締役の細かい要件の差についてはまた別の記事にするつもりです。
スタンフォードビジネススクールによれば、
Outside Directorは
一方で、
Independent Directorは
と定められています。
つまり、Independent Director であればOutside Directorでもあると言えます。
これについては、東京証券取引所における社外取締役と独立役員との違いと同程度のものと考えられます。
東京証券取引所は以下のように独立役員を定義しています。
独立役員とは、一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役又は社外監査役をいいます。
ところが、以下のような文言があるため、独立役員と社外取締役の間に具体的な違いは実質無いものと考えられます。
独立役員の法的な地位、責任範囲は会社法上の社外取締役、社外監査役と異なることはなく、そ の権限と責任、選任方法、任期等は、会社法の範囲内で定められるものである点が変わるものではありません。
参照:日本証券取引所